はじめに
今回の記事では鏝の歴史から鏝の部位についての説明。現在の現場での使われ方、そして使った後の手入れ管理の方法までを記事にしています。
左官職人の商売道具である「鏝(コテ)」について知ることは左官の仕事について知ることにもつながります。またDIYで「自分でも壁塗りをしてみよう」という方にとっては用途にあった鏝探しにおける情報収集の参考になるのではないでしょうか。
左官鏝(コテ)とは
鏝とは
モルタルとは
セメントに水と砂を混ぜ合わせて作る建築材料。コンクリートと異なり、砂利が含まれていない
プラスタとは
鉱物質の粉に水を加えて練り混ぜた壁材。原料となる鉱物質の違いにより、石膏プラスター、ドロマイトプラスターなどがある。
漆喰とは
石灰岩を焼いて水を加えた消石灰を原料として、糊や麻すさと混ぜることでなめらかな質感を出した塗り壁材
例えば、先の尖った形状の鏝や四角い鏝などがあり、素材としても、平たい鋼板に持ち手が付いたもの見慣れたものからプラスチック・ゴム製のものも存在します。
鏝の歴史
いつからこの鏝(コテ)が使われているかというと、諸説ありますが、奈良時代ごろだという説があります。
仏教が伝わり、それに伴って「寺院」の建築が行われました。その際に、これまで日本になかった建築技術が持ち込まれ、建築の際に用いられたとする説があります。寺院の建築にあたっては「土壁」であったり「漆喰」であったりが使われているため、壁塗りの際に鏝が使われたのではないでしょうか。
現代でも使われている鏝の歴史を遡ると、奈良時代に持ち込まれた建築技術と同時に建築道具として日本に持ち込まれたとする説が濃厚です。
左官鏝の部分ごとの名称と解説
- 鏝の部分「先」
- 鏝の部分「側」
- 鏝の部分「肩」
- 鏝の部分「へり」
- 鏝の部分「カシメ」
- 鏝の部分「首」
- 鏝の部分「元」
- 鏝の部分「柄」
左官職人が使う鏝(コテ)の種類が多い理由と各鏝の解説
鏝(コテ)の種類が多い理由
鏝の種類が多い理由として「用途の違い」と「鏝の素材の違い」が挙げられます。
用途の違いは施工における使用タイミングの違いなどが挙げられます。
例えば、施工序盤に用いるのか、それとも施工終盤の仕上げで用いるのかなどで使用する鏝に違いが生じます。
また「鏝の素材の違い」については、施工の対象となる場所や素材によって異なります。
例えば「土間」などのモルタル・コンクリートなどの強固な材料に対して使用するのか、それとも繊細で傷つきやすい「タイル」などの施工時に使用するのかなどで使用する鏝の種類にも違いが生じます。
現在店舗や通販で販売されている鏝においてはステンレスや木でできたものに加え、ゴム製やプラスチック製など様々な鏝が販売され職人によって使い分けられています。
仕上げ鏝(コテ)
先端が尖っている鏝でよく目にするタイプの鏝です。
主な用途としては仕上げの作業に用いられます。
角鏝(コテ)・中塗鏝(コテ)
長方形の形状の板に柄がついたタイプの鏝です。
広い面積を塗る作業に用いられます。
レンガ鏝(コテ)
名前の通りレンガやブロックの積み上げ作業であったり、モルタルをすくう作業であったりに使用します。
櫛目角鏝(コテ)
接着剤やモルタルに櫛目を入れていく作業に用いられます。
シゴキ鏝(コテ)
塗り面を補修する際に用いられる鏝です。
ゴム鏝(コテ)
板となる部分がゴム製の鏝です。
タイルとタイルの隙間(目地)を埋める作業など、傷つきやすい素材や場所に対して使用します。
左官鏝(コテ)と一緒に使われる道具
鏝(コテ)板
塗る材料を一時的に手元に置くための板です。
モルタルなどをバケツやトロ船(セメントやコンクリートを練るときに使うプラスチックの容器)からすくいとり、のせておく板になります。
刷毛(ハケ)
刷毛引き仕上げ(ホウキで掃いたような刷毛目(はけめ)をつけた仕上げ方法)に使用される道具に「刷毛」があります。仕上がり面にあえてハケ引きを行い、わざとザラザラとした表面に仕上げる手法に用いられます。
左官鏝(コテ)の手入れ
手入れの方法
左官鏝(コテ)もこまめな手入れが必要です。
作業終了後には鏝についている材料をよく洗い流します。作業後にそのまま放置をしてしまうと材料が固まってしまい取れにくくなるため放置せずに作業後にしっかり行うようにします。
また洗い流した後は水分がそのまま残っているとサビの原因となってしまいますので、よく拭き取りしっかりと乾かします。
刃物用の油やオイルを塗る方法もあります。その場合、使用前には必ず油を拭き取って使用します。
左官鏝についてのまとめ
今回は鏝についての解説を行いました。
DIYなど自宅で壁塗りをされる方も多くいらっしゃるかと思います。
自分専用工具として鏝の購入をされる方は是非サイトで紹介した内容を参考にしてみてください。
また、鏝の購入を検討されている方は事前にホームセンターや店舗に欲しい種類の鏝の商品在庫があるかを検索、もしくは問い合わせをして購入されることをおすすめします。
最近ではネットでの通販も充実していますので、用途にあった鏝の情報収集をしてみても楽しいかもしれませんね。
素材にあった鏝を使用することで仕上げの出来栄えがこれまで以上になるのではないでしょうか。