ラスモルタルとは何か
ラスとは
ラスとはラス網のことを指します。
ラス網とは金属製の網で、外壁に設置しその上からモルタルを塗り付けるのですが、モルタルが剥がれ落ちることを防ぐ効果があります。
ラスモルタルとは
ラス網を下地に使用してと、その上からモルタルを塗りつけて仕上げた施工方法で外壁施工に用いられることが多くなっています。
ひび割れを防ぐ効果があり、モルタルの下にラス網が入ることで建物と外壁を一体化させ、建物の強度を向上させる効果もあります。
なぜラスモルタルをとりあげたのか
ラスモルタルをとりあげるきっかけ
近年九州においても地震が多発し、2016年の熊本地震の際には多くの建物が被災をしてしまいました。
その際、建物の強度に関する研究の中で「ラスモルタルの強度の高さ」を知る機会があり、もっと世の中の多くの人に知ってもらいたいという思いから記事としてまとめるに至りました。
災害が頻発し、住宅の強度や耐震性について購入者の方もしっかり考慮しながら購入されておられると思いますが、知らない点も多くあると思います。
知らずに購入をしてしまうのでなく、知った上で選択するという世の中を作っていければと考えています。
ラスモルタルの耐震性に関する研究
昨今、短納期、低コストの住宅がどんどん建てられており、当然強度や耐震性について懸念すべき点は多くあります。
中でも、株式会社山中製作所様がYouTubeであげておられる動画が非常に興味深く、この内容をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いでこちらの記事を書くに至りました。
以下がその内容です。
動画内では熊本地震における住居の耐震性の研究とラスモルタルを外壁に取り入れた場合の耐震性について、京都大学との共同研究の様子がとりあげられています。
研究結果の概要としては
・建築基準法の1.2倍程度の耐久壁では熊本地震の被害を防げない
・建築基準法の1.7倍の揺れであっても、ラスモルタルを用いた住宅においては大きな被害が生じない
ということが研究結果として得られています。
研究結果から得られたラスモルタルのすごいところ
ラスモルタル壁は耐震に寄与する
研究結果からもわかりましたが、耐震強度の向上に寄与します。
なぜ耐震強度が向上するのかについてはこちらをご覧ください。
被害があっても軽微な補修で済む
躯体が痛んでしまった場合、補修では済みません。
ラス網を張り、その上からモルタル仕上げを行った住宅の場合、躯体まで被害を受けるということはほぼありません。
災害に見舞われ、ひび割れ等が発生した場合はその箇所のみを補修でまかなうことが可能です。
まとめ
日本古来から受け継がれてきた建築の技法は日本の「地震」という性質にも適応した施工が可能であることが研究によって明らかになりました。
一方で、現代の傾向は「低コスト」。コストを下げるための「短納期」。短納期を実現するために工業化された住宅建築が主流です。当然短期間でもしっかりとした家を建てることは可能です。しかし、それには裏付けされた技術や理論が必要不可欠だと考えています。
これから長い間家族を守っていく家を建てるにあたって、「知らずに決める」のか「知った上で選択する」のかは大きく異なると思っています。
今後まとめていくラスモルタルに関する解説記事を通して、多くの人に情報が届けば良いと考えています。